FXトレーダーにとって最大の恐怖は「強制ロスカット」。
何かしらの判断ミスによって引き起こされる、追証を伴う強制ロスカットでは「借金のリスク」すら存在します。
お金を上手く運用して収益を挙げるFXですから、元手の資金が減ることは破たんにも繋がることです。
今回は、超重要なロスカットと人気FX会社ロスカットルールについて細かい所までまとめてみました!
ロスカットとは
ロスカットは、自身が許容できる損失を超えないように一定の損失額で決済する事を意味します。
これは、日本語に訳すと「損切り」となりますから損失が膨らみ、次のトレードに支障を来すようなレベルになるのを未然に防ぐ役割です。
強制ロスカットとは
ロスカット=強制ロスカットと勘違いしてる事は意外と多いです。
ロスカットとは、前述した通り「戦術的な損失決済」で強制ロスカットとは、FX会社のルールによって強制的に執行されるロスカットを意味します。資産を保護する意味合いは同じですが、証拠金で損失を補てんできない場合は、「追証の支払い義務」が発生して、事実上のFX会社に対する借金となります。
これらの特性上、強制ロスカットルールを理解することは非常に大切である事が理解できるかと思います。さらに、そうならないために適切なリスク管理もとい当サイトでは、戦術的な撤退、損切りの考え方も詳しくお伝えします。
ロスカットルール
ロスカットルールとは条件に当てはまると保有ポジションを自動的に(強制的に)決済されることになります。
- 純資産と注文証拠金
- ポジション必要証拠金
- 証拠金維持率
具体的に、この3種類の数字が関係しています。アナタがFX会社の取引口座に預けている資産(純資産)と新しくポジションをエントリーするのに必要な証拠金(注文証拠金)、既存のポジションを維持するのに必要な証拠金(ポジション必要証拠金)。
そして、全てのお金を計算して導かれる証拠金維持率。これがFX会社によって規定されるパーセンテージ、つまりロスカット率を下回ると「強制ロスカット」が執行されます。
証拠金維持率の計算式はこのようになります。何パーセントでトレードをするか、またいくつ以上なら安心して取引に専念できるか?
その捉え方は、個人のスキルや経験や資金力によって異なりますが、いずれも余裕をもった証拠金維持率の方がリスクは少ないと言えるでしょう。
マージンコール(追証)とは
強制ロスカットの一歩手前、それがマージンコール。
現在の預託資金ではポジションを保有する事が出来なくなった場合、強制ロスカットの執行前に追加で証拠金を預ける事で回避ができる。
FXの場合は追加で証拠金を預けるか、ポジションを減らす事です。多くのFX会社ではメールや取引ツールのアラートお知らせされます。
強制ロスカット前に追加で証拠金を入金し、ポジションを保有し続けるか、強制ロスカット後に損失が証拠金を上回り、追証の支払い義務が発生し借金となる2通りの意味合いが混同しています。
国内FX会社の「ロスカットルール」一覧
国内でも人気のFX会社、アナタも使っているもしくは、使う機会が大いにあり得る口座の「ロスカットルール」をまとめてみました。
証拠金維持率 | マージンコール | |
DMM FX | 50%以下 | 100%以下 |
GMOクリック証券 | 50%以下 | 100%未満 |
外為どっとコム | 100%以下から | 100%以下 |
みんなのFX | 100%以下 | なし |
ヒロセ通商 | 100%未満 | なし |
国内のFX会社の多くは、強制ロスカット水準50%~100%で概ね共通しています。
そのためマージンコールの有無や、強制ロスカットが執行される時間帯の違いが比較すべき点です。
今回の比較対象をみると、どの条件を同じと言えばそうですが、ヒロセ通商が提供する「LION FX」、みんなのFXのみマージンコール、つまりロスカットアラートの通知がありません。
この場合、強制ロスカット水準になった場合に自動執行となりますから注意が必要ですね。
それ以外のFX会社でも、既定の証拠金維持率を下回れば、時間的な猶予なく強制ロスカットが執行されるます。マージンコールによって強制ロスカット前にワンクッションの警告があるか否かの違いです。
各FX会社のロスカットルール詳細
前述したロスカット率の一覧、ピックアップした人気のFX会社のロスカットルールを詳しくまとめてみました。
強制ロスカットとなる証拠金維持率だけじゃなく、執行される時間帯や両建て可否も含めて細かい要素を見ていきましょう。
【DMM FX】のロスカットルール
DMM FXでは、毎営業日クローズ時点で「証拠金維持率の判定」が実施されます。
営業日 | 取引時間 |
月曜日 | 7:00から翌5:59 |
火~木曜日 | 6:00から翌5:59 |
金曜日 | 6:00から翌5:50 |
※夏時間の場合
毎営業日クローズとは、上記のDMM FXの取引時間の内「火曜日から金曜日の午前6時」。この時間帯では、営業日の切り替えと一緒に、追加証拠金の判定時間とされています。
この時点でのレートで追証の入金が確認されていなければ強制ロスカットが執行されます。
注意すべき点として、あらかじめマージンコールで追証の連絡が来た場合、その入金は翌営業日の午前4時59分までに入金されている必要があります。1分でも過ぎてしまった場合でも強制ロスカットの執行となります。
【GMOクリック証券】のロスカットルール
GMOクリック証券の強制ロスカットは、ニューヨーククローズ時に執行されます。
つまり、夏時間であれば午前6時で冬時間では午前7時を指します。
GMOクリック証券の場合は、指値注文であれば24時間365日受付の特徴がありますから混乱しがちです。執行時間はこのようになるので気を付けましょう。
注文受付可能時間 | 原則24時間 |
取引時間 | 月曜7:00から土曜7時まで |
ちなみに、マージンコールは証拠金維持率100%以上150%未満でメールで通知されます。
この状態で、追加で証拠金を入金することなく証拠金維持率100%を下回った場合は新規ポジションを保有する事ができません。
つまり、両建て可能な口座なので反対売買で維持率を変動させる事もできません。小話ですが、国内FX会社の多くは両建て対応でも、推奨はされておりません。
【外為どっとコム】のロスカットルール
取引時間 | |
月曜日 | 7:00から翌6:55 |
火曜~金曜日 | 7:10から翌6:55 |
外為どっとコムのロスカットルールは少々ややこしく感じるかもしれません。
実際に強制ロスカットを執行できる証拠金維持率を最大で100%、最少で50%として10%ごとで任意設定できます。
この時点では、他の国内FX会社にはないメリットです。
しかし、毎営業日の取引終了時間の1時間前つまり、月曜日であれば6:00、他の曜日であれば6:10まで証拠金維持率100%を下回っていれば強制ロスカットは発動します。あくまで、通常の取引時間のみ前述した設定が適応されます。
個人的に好印象なのが、マージンコールとは別で200%以下の段階で注意喚起のメールが送られる事。
他のFX会社はロスカットの一歩手前での通知ですから、外為どっとコムはその点で親切と言えるでしょう。
【みんなのFX】のロスカットルール
みんなのFXはロスカットルールが極めてシンプルなのが特徴と言えるでしょう。
マージンコール、すなわちポジションを保有するのに追証を要求する制度が、このFX会社にはありません。
強制ロスカットを執行する条件である証拠金維持率が100%を下回った段階では、強制ロスカットが自動的に発動し、他のFX会社のようなワンクッションの警告がないです。
しかし、借金のリスクがないか?と言われれば違います。
為替相場の急変動が発生した場合は、強制ロスカットによって成り行きで決済された損失が証拠金を上回る事があります。そういったケースでは、マイナス分を補てんする「追証支払いの義務」が課せられることになるのでお忘れなく。
【ヒロセ通商】のロスカットルール
証拠金維持率100%を下回った段階で、執行されるのがヒロセ通商の強制ロスカット。
みんなのFXと同じく追従を要求する制度がありません。
ロスカットの水準になり、追加で証拠金を入れて回避を図ることができず、通常1から10秒ほどで執行されます。
また、一部のポジションのみがロスカットとなり、証拠金維持率を上げる場合はポジションサイズではなく、古いポジションから順次決済されるようになっています。
強制ロスカットは、大損を回避する最後の砦
ここまで、人気FX会社のロスカットルールを全てまとめて行きました。
どのFX会社も、「顧客の資産保護」を目的として強制ロスカットを提供しています。これが、適応され証拠金が大きく減ることは合っても前提として、完全にゼロ円の口座資金になることを回避するためにあります。
- 証拠金維持率を切り詰めた大きすぎるポジション
- 損切りできずに、長く含み損に耐えたポジション
強制ロスカットになる場合は、こういった無理な取引あるいは、否合理的な取引をしてる時です。
そして、ほとんどの人は大きな損失を出した直後など、不安定な精神状態で無理なトレードをしてしまいます。
そんな時は、資金がゼロになってしまうまで損切りもできません。機械的に損切りをしてくれる強制ロスカットは、不安定な精神状態も関係なく少なくとも「完全破綻」を防ぐ目的があります。
大切なのは、ロスカットになるようなトレードをしない事。当たり前ですが、資金がなくなってしまっては意味がありません。
まとめ ロスカットを知り、リスク回避を
最後まで読んで頂きありがとうございます。
今回は「FXでは強制ロスカットに注意!適切なリスク管理が成功のコツ。」のテーマでお送りさせていただきました。
- 強制ロスカットがある事で、機械的に損失を減らしてくれる
- ロスカットルールは国内のFX会社でも異なる
こちらの2点をしっかり理解できましたか?
強制ロスカット=借金の概念が強く。私を含む多くのトレーダーは、相場に向き合う上で最大の恐怖として認識しています。残酷なことに相場が大きく動くときは、多くの損切りと多くの強制ロスカットが関係しているのです。
まさに、勝者と敗者の区分が分かりやすく、勝者は敗者の損失を実質の利益となっているとも言えるでしょう。
しかし、見ている相場、エントリーした相場は参加者すべて平等に与えられたもの。それに対して、タイミングと売買の方向が正解できたものが勝者です。ロスカットも明確にルールがある以上、それを理解してリスクに備える事は、FXをする上で欠かせませんね。