日々トレードしている中で、欠かせない「損切り」。
FXでは、1年を通して一日も負けないのはあり得ません。積み重ねる日々のトレードで利益を多く、損失を少なくする事で大きな富を築くことが出来ます。
大切な利益や資産を減らさないためにも、「損切り」を正しく理解しておきましょう。
今回は、損切りに特化したリスク管理を具体的にお話しして行きます。
何気なく赤字で決済している損失を、意味ある損切りへ変えて見せますよ!
損切りとは
損切りとは、含み損(未決済の損失)が出ている時、損失としてポジションを決済する事。
まったくのFX初心者であれば、なぜ利益が出ていないのにマイナスで決済するの?思われる事でしょう。
しかし、常に一方向へ動かない相場では損失を拡大しないため、より優位性の高い場所でエントリーするために損切りを行います。
- 損失をこれ以上、増やさないため
- より優位性の高いポイントでエントリーするため
この2点は、後述する損切りテクニックを語る上で超重要です。
損切りは経費?
損切りは経費ではありません。完全な負けです。
この意識を持つトレーダーは意外と少ないのではないでしょうか?
FXの教材を見てみると「損切りは経費」、「必要な負け」と事実として損失を計上しているにも関わらず、開き直っている話を見ます。
利益を得るためにFXでトレードしている以上、損失は「負け」です。大切なのは、負けを素直に認め、次の反省としてトレードを振り返る事。
- 分析して導き出したトレードシナリオに間違いはないか?
- エントリーポイントは適切だったか?
- そもそも、この損切りは合っているのか?
考え出したら、山ほど溢れてくる反省点。中でも今回は「そもそも、この損切りは合っているのか?」ここにフォーカスしてお伝えします!
損切りラインの決め方と目安
私は、常に損切りラインを想定したシナリオが否定となる部分としています。
損切りラインを決めて、逆指値の注文で損切り注文を準備したり、もしくは裁量で成り行き注文の損切りをします。
一時的な感情で損失を拡大しないために機械的に損切りをするのは大切です。だから、損切りのラインを決めるという作業は欠かせません。
しかし、その損切りラインをエントリーポイントから、「20pipsの逆行をしたら損切り」といった決め方をしていませんか?
確かに、毎回のトレードで同じ値幅で固定してしまえば、損失を限定できリスク管理が出来ているように思えます。
ですが、リスクとは具体的な金銭のリスクだけではありません!
- 損切りが早すぎて利益を逃す「機会損失のリスク」
- 本来は、より損失を押えて損切りが出来た「損切幅が拡大するリスク」
これらのリスクは、損切りに対して考える事を放棄している以上は常に誰もが背負うものです。
では、本当にリスク管理が徹底された損切りラインはどのように導き出すのでしょうか?
先にお伝えした通り、私なら想定したシナリオが否定された時に損切りを行います。
上のユーロドル4時間足チャートをご覧ください。例えば、赤色のライン領域で「上昇トレンドが発生するシナリオ」でトレードを考えているとしましょう。
- 上昇トレンドは、高値の切り上げと安値の切り下げによって成り立つ
- 最もリスクが少ない、理想的なエントリーポイントは安値
上昇トレンドを想定したシナリオですから、買いでエントリーを直近の安値を基準にポイントを探ります。
シナリオ否定は、安値を更新した場合ですから「損切りラインは安値」です。
安値を損切りラインとする以上は、如何にして安値までエントリーポイントを引き付けるか?が重要になりますね。
なぜなら、最も利益が大きく狙え、シナリオ否定となっても損失は最小限で済むからです。
ここで1つ気付いて欲しいのは、損切りに対してストイックに試行錯誤することで自然とエントリーも厳選される事。
明確に損切りラインを導ければ、勝ち越せる利益は自然と大きくなります。
また、トレードシナリオに対して損切り位置を分かっていれば、2度目の安値の大きな下髭が「シナリオ否定の恐れ」ではなく、効率の良い「絶好の買い場」にもチャートでは見えますね。
- 利益が伸びてきたら、損切りをエントリーポイントより上に置く
想定通りに直近の高値を超えて、上昇トレンドが継続する流れとなりました。
しかし、そのトレンドが長期的にわたって作用し続けるか不安になる値動きがあった場合(例では大きな下髭)、エントリーポイントから利益が残る領域に「損切り注文を繰り上げ」します。
そうすることで、事実上100%負けない戦いをする環境が整いました。
この後、トレンド継続なら利益を追従することができますし、トレンド終了ならば最低限の利益を担保する事ができますね。
あくまでテクニカル分析がある程度できる前提ですが、このように損切りを値幅で固定ではなく、相場環境に合わせて立ち回ると「機会損失のリスク」と「損切幅が拡大するリスク」を根絶する事ができるでしょう。
損切りしてから逆に動く理由
損切りした後に、値動きが逆行してポジションを持っていれば利益が出たのに・・・。こんな苦い経験はありません?
それは、アナタ自身が計画したトレードシナリオを理解できおらず、損切りの位置がズレている事に原因があります。もちろん、これもテクニカル分析ができている前提のお話です。
例えば、上のチャートで考えてみましょう。
- 1時間足の「押し目」を狙った上昇トレンドフォロー
- 5分足の平行チャネルの下限で買いエントリー
- 平行チャネルが崩れたら、下降トレンド転換とみて損切り
典型的な押し目パターンを経て、上昇トレンド継続の流れを予想してトレードシナリオを考えたアナタ。この3つのプロセスの中に間違いが隠れています。
それは、「平行チャネルが崩れたら、下降トレンド転換とみて損切り」です。
このシナリオ通りにトレードを考えると、実際には損失を計上し、その後の美味しい上昇相場は指をくわえて見ていなければなりません。
何故なら、5分足の平行チャネルが崩れた=1時間足レベルの上昇トレンドが崩れたとは判断できないから。
本来のシナリオ否定の水準は、もっと下の領域にあります。
間違い探しの答えは、実際にトレードする1時間足が教えてくれます。
- 1時間足レベルでは、平行チャネルとして認識できない
- 5分足レベルのレンジを抜け、上昇継続中の状況
この2つが、容易に分析できますね。5分足で平行チャネルに見えた部分は、1時間足では確認できません。
つまり、5分足の平行チャネルは所詮その時間軸でしか作用しないもの。
直近の1時間足では「上昇トレンドの最中」であり、買いエントリーとしては後発組である事を念頭に置かねばなりません。
ですから、損切りラインもといシナリオ否定となるのは、直近のレンジ内に戻り、再びレンジ相場突入、もしくはダマしとなって下落に転じる場合です。
これらが確定するのは、5分足のレンジ下限であり、ロスカット水準は赤色ラインになります。
ちなみに例としたドル円チャートは、1時間足ではピンバーのプライスアクションが見られ、チャートパターンでは逆三尊といったポピュラーなセオリーが分析できます。
自身の軸となる分析方法も加味して損切りラインを吟味するのは、学習の機会としても有用です。
損切りできないのは、頑固すぎるから
先ほど、早すぎる損切りは機会損失になるとお話ししました。
逆に、損切りできずにズルズルと損失額と共に伸ばしてしまう失敗パターンも多いです。特に、自身のトレードスタイルが固まっていない初心者こそ損切りできず、含み損に耐える傾向があります。
- ストップロス注文を設定し、エントリー後に変更しない
- リスクを取る相場と、リスクを減らす相場を差別化する
私自身の経験上、この2つが解決策として有効です。
最初に、シナリオ否定となる水準にストップロス注文を設定し、エントリー後に変更しないのをルール化します。
これによって、少なくとも設定した値幅以上の損失を背負うことはありません。
前述した値幅固定の損切りにあたりますが、最初のうちはこれで良しとしましょう。「まず生き残れ。儲けるのはそれからだ」と偉大な投資家ジョージ・ソロスの名言にもあるように、まずは生き残り、深く考えたトレードを重ねましょう。
相場を分類し、リスクの取り方を考えるのも1つのテクニックでしょう。
私なら、このように相場を分類して損切りラインのバランスを考えます。
- 方向感が持続しないレンジ相場では、常に大きな逆行を意識して損切りとエントリーはシビアに
- 圧倒的なトレンド相場では、大衆が同じ方向を意識するため利益機会に注力
上も下も中長期的な方向が不透明なレンジ相場では、損切り幅を縮小させ、エントリーも分析できる節目に極力近づけてから検討します。
なぜなら、方向感がないため急な逆行が起こるリスクが最も警戒すべきポイントだからです。
逆に、レンジの上下限として中長期的に作用してきた節目を抜けた場合。
待ちに待ったレンジブレイクを受けて一定の方向へ相当な速度感でトレンドが進行します。
ですから、分かりやすい押し目や戻り高値を形成することなく一気に相場が過熱する可能性が高いと考えられます。
こういった相場環境では、損切りのリスクを恐れすぎ、エントリーを躊躇しがちになりますが、私はある程度の損失を覚悟の上でエントリーします。
これは機会損失をしないための戦術です。
注意すべきは損切り幅を許容する代わりに、ロット数を減らしてリスク管理をする意識を持つ事。
予想外にレートが逆行してきた時に、損失を減らすか、より優位性の高いところで追加のエントリーを考えるために立ち回ると上手くトレードできるでしょう。
これは私なりの解決策ですが、アナタのお役に立てると嬉しいです。損切りができないなら、そもそも含み損を抱える事でメリットのある相場なのかを客観的に分析できると改善できると私は思います。
まとめ 損切りは次への布石
最後まで、読んで頂きありがとうございます。
今回は、「FX初心者へ送る「損切り」の仕方。徹底したリスク管理で利益を増やせ!」のテーマでお送りさせていただきました。
- 損切りは値幅で決めない!
- トレードシナリオを熟考し、シナリオ否定を損切りとする
- リスクの取り方を相場に合わせて考える
重要なポイントをまとめてみました。しっかり理解することができましたか?
損切りは、多くのトレーダーは早い段階で躓く課題。私も未だに完璧な正解が導き出せない時があります。しかし、それでも追求し続ける姿勢が大切です。
FXを始めるたくさんの人は利益を求めて相場に参加します。ここでエントリーして、ここで決済すればいくら儲かるという事はすぐに考え始めるが、リスクに対しては盲目。長く相場で勝ち数を重ねてい行き、成功を収めるならリスク管理は必須です。
盲目になり易い部分だからこそ、強く意識して考えるのは非常に大切な事ですね。